機関紙「いわて労連 2017年9月号      

●第63回日本母親大会in岩手/「いのち守れ」、「憲法守れ」と全国から結集●若い世代の企画/行列のできるしゃべくりカフェ●大熊座●原水爆禁止世界大会/核兵器禁止条約を批准する政府をつくろう●17人勧/4年連続プラスなるも・現給保障打切りで実質賃下げ●岩手地方最賃738円に/今年も格差が拡大●闘う仲間を支援!盛岡労連サマービアパーティ●建交労/ダンプ労働者の組織化へ/建交労宮古ダンプ総がかり作戦●子供たちを戦場に送るな!赤紙配布行動●戦争法廃止、オスプレイ撤去を●LUが定期大会開催●いわて労連定期大会告知●NEWSフラッシュ●主張●めもあーつ192●川柳

1面
第63回日本母親大会in岩手 「いのち守れ」、「憲法守れ」と全国から結集

震災後はじめての東北開催、1万700人参加で成功
 第63回日本母親大会in岩手が8月19〜20日に開催され、のべ1万700人が参加しました。東日本大震災津波後、はじめての東北開催でした。
 19日は盛岡市内のマリオス、アイーナ、岩手大学で25テーマの分科会が行われ、5千200人が参加。被災3県の被災地バスツアーも行われました。20日の全体会はタカヤアリーナで行われ、5千500人が参加しました。

 20日の全体会場のタカヤアリーナは、北海道・東北各地から集められた約2万枚の「つぶやきカード」で壁面が飾られました。
 主催者あいさつで長尾ゆり代表委員(全労連副議長)は「野党と市民の共闘は岩手からはじまった。東北の野党共闘が全国を励ましている」と強調しました。
 来賓あいさつは達増県知事、谷藤盛岡市長、金野いわて労連議長が行いました。「開催地の県知事と市長がそろってあいさつするのは初めて」と紹介されました。金野議長は「対話が大事。隣の人と手をつなぎあって」と呼びかけ、会場全体がつながりました。
 記念講演はフォトジャーナリストの安田菜津紀さんが「写真で伝える世界、東北の今=vと題してお話しました。
 今日の運動では岩手の運動も紹介。最後に岩手の「若い世代」分科会のメンバーもステージに上がって「私たちはみんな愛されて生まれた」を歌いました。
 大会は155項目の決議やアピールを採択しました。

「生きる展望見えた」 感動の声も
 
19日の分科会はどの会場もたくさんの参加者が集いました。
 特別企画「啄木、賢治と憲法を語る」はマリオス大ホールが文字通り満席に。他の会場も活発に討論が行われ、テーマ毎に申し合わせ事項を確認しました。
 雨模様でしたが、岩手大学会場から母親パレードを行い「憲法まもれ、平和まもれ」と声をあげました。
 大会への感想では「これまでの大会で一番感動した。生きる展望が見えた」、「はじめて参加。もっと早く大会に出会えればよかった」、「被災地訪問に参加。戸羽市長の講演に胸が詰まる」、「若い方々のパワー、うれしいです」など、全国から声が寄せられました。
 大会は多くの実行委員や要員が支えました。現地要員として、いわて労連の各組織も、バスツアーや案内・交通・会場係などで奮闘しました。

若い世代の企画
行列のできるしゃべくりカフェ
 
若い世代の企画として「行列ができるしゃべくりカフェ」という分科会が行われ、120人を越える参加で成功しました。現地実行委員が何度も集まって企画を準備しました。
 第1部は、生活あるあるエピソード発表会。「子どもの言動にイライラして、つい怒鳴ってしまう」、「先輩が育休を取らせてもらえずに退職に追い込まれた。私もそうなるのではと不安」など、全国から集まった悩みを発表し、各分野の専門家7人がアドバイスをして話し合いました。
 第2部のグループトークでは、参加者の悩みや不安を率直に出し合って話し合い、各グループとも盛り上がりました。

大熊座
 
8月19・20日に開催された第63回日本母親大会in岩手は、北海道・東北の母親実行委員会や中央団体のご協力のもと、歴史的かつ大変感動的な大会として大きく成功しました。雨の翌日は炎天下と天候が激変する中で、誘導・案内を担った男性陣の皆さんも大変お疲れ様でした▼全体会の花巻農高鹿踊部、盛岡さんさ踊り清流など若い皆さんの演舞は大変感動しました。記念講演の安田菜津紀さんのお話は、東日本大震災からの復興と世界各地の紛争で犠牲となっている人たちの現実を写しだし、人々が安心して生きていくために社会は何をすべきかと訴えています。岩手のたたかい、全国のたたかい、若い世代のアピールなど母親大会はたくさんの要求や課題を明らかにしました。この感動を忘れず、早速、取り組みを始めましょう▼連日の雨天続きだった8月も終わり、季節は秋へと向かっています。いわて労連は第29回定期大会を9月9日に開催します。この一年間の成果と到達点、克服すべき課題をみんなで討議し、これからの秋・年末闘争、来春闘に向けたたたかう方針と体制を確立しましょう。秋の臨時国会で、「働き方改革」の名で長時間労働合法化など労働法制改悪が狙われ、自民党の改憲案も出てきそうです。職場での学習に取り組み、意思統一してたたかいましょう▼8月29日朝、北朝鮮のミサイル発射でJアラートが発令されました。北朝鮮の度重なる蛮行に強く抗議するとともに、これに軍事力で対応するのではなく、北朝鮮を話し合いのテーブルに着かせて国連安保理や6カ国協議の枠組みで解決することを強く望みます。
(こ)


2面
原水爆禁止世界大会   核兵器禁止条約を批准する政府をつくろう
 
8月6〜9日にかけて、原水爆禁止世界大会・長崎大会に、41人の岩手県代表団が参加しました。いわて労連からは中村事務局長の他、医労連、自治労連、いわて生協労組などの職場代表が参加しました。代表団の半数が「初参加で、35歳以下」という代表団でした。
 7日の長崎大会開会総会では中満泉・国連軍縮担当上級代表もあいさつしました。核兵器禁止条約について「核政策を安全保障に使う国への警鐘となっている」として「第1回の国連決議が核兵器廃絶を求めたことを思い起こそう。すべての国が共通の理想に向けて努力を」と話されました。
 8日はテーマ毎の分科会が行われました。核兵器禁止条約をめぐる国際フォーラムでは、オーストリア政府代表、イギリス、アメリカ、日本の運動家などにより対話が行われました。斉藤信岩手県代表団長も岩手のヒバクシャ国際署名の取り組みなどを発言して報告しました。
 核兵器禁止条約に背を向ける日本政府は一日も早く退場させて、条約に賛成した122カ国の一員となり、核兵器廃絶の先頭に立てるような政府をつくらなければなりません。ヒバクシャ国際署名を大きく広げていきましょう。

17人事院勧告 4年連続プラスなるも、現給保障打切りで実質賃下げ
 
8月8日、人事院は、一般職国家公務員の給与等に関する勧告と報告を行いました。
 生活改善には及ばないとはいえ、月例給(0・15%・631円)、一時金(0・1月分)ともに4年連続のプラス勧告となりました。一方で、2014年に強行された、地方で働く国家公務員の給与を切り下げ、中央で働く者のそれを引き上げる、同一労働同一賃金の原則を破壊する「給与制度の総合的見直し」は廃止されることなく、現給保障を受けていた6万人の職員が、来春、実質的な賃下げとなります。
 重点要求であった非常勤職員の均等待遇については、勤勉手当の支給を努力事項に追加した指針運用の各省指導など、極めて不十分な内容に止まり、住居手当の改善についても、「必要な検討を行う」などとして、改善を見送りました。
 770万人の労働者に影響を及ぼす本勧告の扱いについて、まだまだ闘争は続きます。

岩手地方最賃738円に今年も格差が拡大
 
今年の岩手地方最低賃金は738円に改定することが定まりました(10月5日発効)。7月27日に中央最賃審議会が、ランク別にA26円、B25円、C24円、D22円引上げという、地域間格差を広げる目安を報告し、7月31日の岩手地方審議会でその旨が報告されました。いわて労連、いわてパ臨連は、審議会傍聴後に盛岡市大通で、格差拡大の目安を批判して、いますぐ最賃1000円の実現、めざせ1500円以上、全国一律最賃制度確立を訴えて宣伝を行いました。8月1日には金額審議に関する意見陳述が行われ、いわて生協労組の橋委員長が最賃1000円の実現を求めて発言しました。しかし、8月7日の審議会で22円引き上げの738円という答申が出されました。これに対して8月22日にいわて労連や岩手医労連、ローカルユニオンなどが異議申し出を行いましたが、8月23日の審議会で答申通りの改定が決定されました。
 最高額の東京との格差は216円から220円に拡大しました。引き続き、全国一律最賃制度確立を求めて運動を強めましょう。

3面
闘う仲間を支援! 盛岡労連サマービアパーティ
 8月8日、毎年恒例の盛岡労連「労働争議の仲間激励・サマービアパーティ」が盛岡市・木の花会館で開催され、57人が参加しました。
 
郵政20条裁判を支える岩手の会、県国公「違憲賃下げ訴訟」、全厚生争議団を支える会、年金裁判、盛岡市動物公園労組など、争議で闘う仲間からの報告が行われました。郵政の仲間からは「北上の新拠点は処理量が膨大。千人規模の職員だが、辞めていく人が多い。誤送のトラブルも起きている」などの職場実態が報告されました。
 労金お楽しみ抽選会、「うたごえ」などで今年も盛り上がり、他労組の仲間との交流ができて楽しいひと時を過すごしました。

建交労
ダンプ労働者の組織化へ建交労宮古ダンプ総がかり作戦
 
全労連組織拡大4カ年計画の重点計画として、6月の「建交労・宮古ダンプ総がかり統一行動」に引き続き、台風10号が温帯低気圧になって東北地方に近づく雨の中、8月7〜8日にかけて拡大行動を実施しました。全労連オルグといわて労連、宮古労連、盛岡労連、県医労が連携して信号待ちのダンプドライバーに軍手入りのチラシを配布して建交労の存在をアピールしました。
 当初は午前中に釜石から行動スタートの予定でしたが、台風10号の雨の影響で工事が中断しました。
 午後には、雨がやみ、宮古の磯鶏地区の護岸工事現場出入口で信号待ちのダンプに軍手入りのチラシ配布を行い、建交労の存在をアピールしました。
 その日の夜に組合員から電話が入り、台風10号が温帯低気圧になって東北に近づく影響などで大手企業のほとんどの工事現場で工事を休むことを決めた、との情報でした。
 残念でしたが、翌日は宮古労連で協議して、平日毎日運行している建交労宣伝カーの計画など今後の動きを検討しました。次回の統一行動を10月として、引き続き力を合わせて拡大することを確認しあいました。


子供たちを戦場に送るな! 赤紙配布行動
 
8月15日、岩手県母親大会連絡会は盛岡市大通で戦争反対の「赤紙」配布行動を実施しました。
 約20人が参加して、「子供たちを二度と戦場に送らせない」、「戦争法は廃止を」と訴えながら、核兵器の廃絶を求めるヒバクシャ国際署名を呼びかけました。夏休み中の子供たちも署名に応じていました。


戦争法廃止、オスプレイ撤去を
 
安倍首相は暴走政治に対する国民の批判におされて内閣改造に追い込まれ、8月3日に新内閣を発足させました。また、8月5日には米軍普天間基地所属のオスプレイがオーストラリア沖で墜落事故を起こして3人が死亡しました。こうした中で、8月18日、戦争させない・9条壊すな!岩手の会は戦争法廃止・共謀罪廃止を求める8・18盛岡昼デモ行進を行い、約100人が参加して、「オスプレイ撤去せよ」、「森友・加計疑惑解明を」と声を上げました。

LUが定期大会開催
 
いわてローカルユニオン第19回定期大会が7月29日、盛岡市内で開催され、2018年度方針が決定し、新役員が選出されました。
 委員長あいさつで、新田英則執行委員長は「LUと民青同盟が取り組んだ、労働実態調査では人手不足で仕事量が多いのが今の実態として出ている。最低賃金も、我々の要求とはほど遠いのが現状。引き続き声をあげていく必要がある。私たちの声が政治を動かす」と力強く述べました。
 来賓のいわて労連金野耕治議長から「LUはすべての未組織労働者のよりどころ、1人ひとりパワーアップして活動しよう」とあいさつがありました。
 議案提案後、活発な討論で補強されました。
 18年度方針では、安倍政権がすすめる「戦争する国」づくりを許さず、アベ「働き方改革」による労働法制大改悪阻止をめざし取り組むこと、引き続き青年ユニオンの再建に向けて、青年とつながり、共に活動できる仲間づくりを意識的に取り組むことなどを確認しました。
 役員選挙が行なわれ、新田委員長、平井書記長などが再任され、新たに両磐支部から、松岡守男さんが副委員長に選出されました。

NEWSフラッシュ
 ●盛岡労連一の日行動
 
盛岡労連は8月1日、岩手銀行本店前で定例の「一の日」行動を行い、最低賃金の大幅な引上げなどを宣伝しました。
 ●アベ政治を許さない/スタンディング
 
8月3日、岩手県革新懇は「アベ政治を許さない」スタンディング宣伝を盛岡市内で行いました。
 ●原爆パネルと人間展、原爆死没者追悼式典
 
8月5〜6日、県と岩手県被団協が主催した「原爆パネル展と人間展in盛岡」が上田公民館で開催されました。6日には高校生6人による討論会も行われ、核兵器廃絶について意見が交わされました。
 6日には岩手県原爆死没者追悼式典も開催され、金野いわて労連議長があいさつしました。
 ●ヒロシマデー、ナガサキデー宣伝
 
岩手県原水協は、72年前に原爆の投下された8月6日、9日に合わせてヒロシマデー宣伝、ナガサキデー宣伝を盛岡市内で行いました。ヒバクシャ国際署名を呼びかけました。


主張
アベ雇用改革と改憲策動を阻止しよう
 
9月下旬から臨時国会が招集される見通しですが、この秋の闘いの焦点は、労働法制改悪と改憲策動を阻止することです。
 秋の臨時国会で安倍政権は、「残業代ゼロ法」と過労死ライン残業時間の合法化、差別固定化の「同一労働同一賃金」などを成立させようとしています。「8時間働いたら帰る、まともに暮らせる社会」を実現するために、学習を強めて職場から闘いをすすめましょう。全労連と雇用共同アクションなどは「過労死と職場における差別の根絶をもとめる国会請願署名」に取り組んでいます。県内でも共同を広げながらこの署名に取り組みます。すべての職場・地域で学習を強めて、大きく広げていきましょう。 また、安倍首相は、9条に自衛隊を書き込むなど、改憲の内容に踏み込んだ「改憲発言」を行い、2020年に新憲法施行という期限を明確にして、2018年6月には改憲発議を行い、2018年秋には国民投票も行うことを想定しています。年内にも自民党の改憲案をまとめようとしています。「戦争法廃止の2000万統一署名」の運動を呼びかけてきた「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、「安倍改憲は許さない」の一致点での共同を広げるために「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」という運動を準備し、安倍改憲に反対する新たな3000万署名が提起されます。県内でも運動の具体化に向けて準備がすすめられています。職場・地域で憲法を学び、安倍改憲NO!の世論を大きく広げて、改憲を言い出せないところまで安倍政権を追い込んでいきましょう。
 憲法・労働法制の2つを柱に学習と署名をすすめて、労働法制の改悪と安倍改憲策動を阻止しよう!

いわて労連定期大会告知
第29回いわて労連定期大会
            日時 2017年9月9日(土) 10時半〜17時
            会場 盛岡市勤労福祉会館   5階大ホール


4面
めも・あーつ192
ただ普通に暮らしたい、人間らしく生きたいだけなのに

映画 「わたしは、 ダニエル・ブレイク」/第69回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞/監督/ケン・ローチ
 
「わたしは、ダニエル・ブレイク」職業安定所の壁の大きなペンキの文字は、社会への怒りと人間の尊厳を求めたことばだった。
 かつては炭鉱、軍事産業で栄えたイギリスの町ニューカッスル。腕のいい大工のダニエル59歳は、認知症の妻を亡くしたばかりで、心臓病を患い医師からはまだ仕事のできる体ではないといわれている。
 生活補助手当を受給しているが、継続の申請では人を食ったような審査の末に打ち切られてしまった。次に求職者手当の申請に出向くが、パソコンでオンラインのみの申請、履歴書も手書きはダメといわれ途方に暮れてしまった。その時、悲痛な叫び声が響いた。申請予約の時間に遅れて、不支給と減額を言い渡された女性ケイティ。ロンドンから2人の子どもとひっこしたばかりで道に迷っただけなのに酷い仕打ちだった。
 娘のようなケイティを放っておけないダニエルは、買い物やアパートの部屋の修理、子どもに木彫りのモビールをつくり、フードバンクにも付き添った。
 収入の当てのないダニエルは、働けない体なのに求職活動を続けるのみ。申請の不備に何度も何度も返されて傷つき、自分自身が否定されていくようだった。
 「税金はちゃんと納めてきた。施しはいらない。働きたくても働けない。俺は番号ではない。もう止めた。」壁のことばはダニエルの叫びだった。ケイティもまた、娘が破れた運動靴でいじめにあっていることを知り、真っ当でない仕事に手を染めていた。止めるよう諭すダニエルだが、家具も売り蓄えも底をつきどうしようもない。ひきこもるダニエルに手を差し伸べたのはケイティだった。再審査請求の面接日。待っていたのは心臓発作による死。
 貧富の格差は広がり、福祉予算は削減され制裁措置までかける国の有り方は、世界に共通したテーマだと知り、心の底から怒りを覚える。監督のケン・ローチは、映画上映権を保有する30年間、収益の一部を貧困の人々への援助基金を設立し、チャリティがいらないような社会システムを変える政治運動も欠かせないと強調している。(久保克子)

ひろば
   川  柳
謙虚にとこの人が言う傲慢さ
                                                                       巷多朗

「責任は私にある」の後がない
                                                                      瀬川重哉

厚顔無恥稲田離任の栄誉礼
                                                                      拓  庵

どこよりも可視化が必要内閣府
                                                                      野の一枝
年金者組合盛岡支部